ウイルス性胃腸炎
ウイルス性腸炎とは
ウイルス性胃腸炎は、ウイルスが原因で起こるお腹の風邪のような感染症です。
嘔吐・下痢・嘔吐・腹痛・発熱などの症状があり、特に秋~冬にかけて流行しやすくなります。感染力がとても強く、家庭や保育園、学校などで集団感染につながることもあるため注意が必要です。
ウイルス性胃腸炎の原因
原因となる主なウイルスには以下のものがあります。
- ノロウイルス:一年を通して見られますが、特に冬場に流行します。少量のウイルスでも感染するため、感染力が非常に強いのが特徴です。
- ロタウイルス:乳幼児に多く、重症化しやすい傾向があります。白っぽい水のような下痢が特徴的です。
- アデノウイルス:一年を通じて感染の可能性があります。胃腸炎だけでなく、風邪や結膜炎を引き起こすこともあります。
感染経路は、ウイルスのついた手で口を触る「接触感染」、嘔吐物や便からの「飛沫感染」などです。
ウイルス性胃腸炎の症状
一般的には以下のような症状が見られます。
- 突然の嘔吐(特にノロウイルスでは初期に多い)
- 水のような下痢(ロタウイルスでは白っぽい便になることがある)
- 腹痛、微熱
- 食欲不振、脱水症状(口の渇き、尿の量が少ない、ぐったり)
ほとんどの場合、1週間以内に自然に回復しますが、嘔吐や下痢が続くと脱水になることがあるため、注意が大切です。
ウイルス性胃腸炎の治療方法
ウイルス性胃腸炎には特効薬はありません。治療の基本は、脱水を防ぐことと、体力を回復させることです。
① 水分補給をしっかりする
- 経口補水液(OS-1など)、薄めたスポーツドリンク、麦茶などを少量ずつ
- 嘔吐後すぐに飲ませず、少し時間をあけてからスタート
② 消化にやさしい食事
- 嘔吐や下痢が落ち着いてきたら、おかゆ・うどん・バナナなどから始めましょう
- 脂っこいものや乳製品は、胃腸に負担がかかるため控えてください
③ 下痢止めは自己判断で使わない
- ウイルスを体の外に出すため、自己判断で下痢止めを使うのは避けましょう
- 発熱が高い場合は、医師に相談の上で解熱剤を使用することもあります
ウイルス性腸炎の予防方法
- 食事前、トイレ後、オムツ交換後の手洗いをこまめに
- 嘔吐物や便は次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)で消毒
- タオルや食器の共用しない
- 家族内で感染者が出た場合は、マスク・手袋の使用も効果的です
ウイルス性胃腸炎は症状が治まっても、便の中に数日間ウイルスが便に残ることがあります。
完全に回復するまでは、登園・登校を控え、しっかりと休養しましょう。
園や学校によって登園・登校基準があるため、医師や施設にご確認ください。
ウイルス性胃腸炎と「軽症胃腸炎関連けいれん」について
ウイルス性胃腸炎では、下痢や嘔吐、発熱などがよく見られますが、特に乳幼児では「軽症胃腸炎関連けいれん」と呼ばれる、特徴的なけいれんを起こすことがあります。
これは、一般的な熱性けいれんとは異なる特徴があり、あらかじめ知っておくことで、保護者の不安を減らすことができます。
軽症胃腸炎関連けいれんとは
軽症胃腸炎関連けいれんは、ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎に伴って、発熱がなくても起こりうるけいれんです。主に生後6か月から3歳くらいまでの乳幼児に多く見られます。
このけいれんの特徴
- 発熱がない、または微熱程度で起こる(熱性けいれんとの大きな違い)
- 1回のけいれんは数分で自然におさまることが多い
- 短期間に数回くり返すことがある
- けいれん中も意識が完全にはなくならないことがある
- 多くの場合、後遺症を残さずに回復する(予後良好)
- てんかんなどに進行することはまれです
なぜ起こるのか?
詳しい原因はまだはっきりとはわかっていませんが、ウイルス感染による一時的な脳の影響、脱水や電解質バランスの変化などが関係していると考えられています。
けいれんが起きたときの対応
1. あわてず、まず安全を確保
→ 周りの危ないものをどけ、頭の下にタオルなどを敷きましょう。服をゆるめて呼吸を楽にしてあげてください。
2. 時間を確認
→ けいれんが始まった時刻と終わった時刻を正確に記録しましょう。
3. 様子を観察
→ どこがどう動いたか、意識はあるか、顔色などを観察してください。動画を撮れるようであれば、診察時に役立ちます。
4. 無理に押さえない
→ 揺さぶったり、口に指や物を入れたりしないでください。
5. 嘔吐に注意
→ 吐いたものが喉に詰まらないよう、横向きに寝かせておきましょう。
医療機関を受診すべきサイン
- 初めてのけいれん
- けいれんが5分以上続く
- けいれん後も意識が戻らない
- 何度もけいれんをくり返す
- 顔色が悪い、呼吸が苦しそうな様子がある
軽症胃腸炎関連けいれんは、ほとんどの場合心配のいらないタイプのけいれんです。とはいえ、けいれんを起こす病気の中には緊急性の高いものもあるため、自己判断はせず、小児科で診察を受けましょう。
ご不安なときは、かかりつけ医や小児救急にご相談ください。