心身症(ストレス関連疾患)
心身症(ストレス関連疾患)とは
心身症(しんしんしょう)とは、心のストレスや心配事が、体の症状として現れる病気のことをいいます。子どもたちは、大人と比べて自分の気持ちを上手に言葉で伝えにくいことがあります。そのため、心に抱えたストレスを、体の不調という形で表してしまうことがあるのです。
例えば、学校や家庭での悩み、友達とのトラブル、勉強や習い事のプレッシャーなどが原因で、頭が痛くなったり、お腹が痛くなったり、吐き気がしたり、体がだるく感じたりするなどの症状が出ることが特徴です。
こどもの心身症(ストレス関連疾患)の原因
心身症の原因は、主に心のストレスと生活環境の変化が関係しています。
主な原因には、以下のようなことがあります。
①心のストレス
- 学校や家庭でのストレス:学校での人間関係、いじめ、成績のプレッシャーなど。
- 家庭内の心配事:親の離婚、兄弟との関係、家族の病気など。
- お子さんの性格:真面目で完璧主義だったり、頑張りすぎたり、失敗を過度に恐れたりするタイプのお子さんは、ストレスを抱えやすいことがあります。
②生活環境の変化
- 入園・入学、転校:新しい環境や生活リズムの変化への適応が難しい場合。
- 引っ越しや家族構成の変化:慣れない場所への引っ越しや、家族が増えたり減ったりすることによる不安。
- 体調や生活リズムの乱れ:睡眠不足や栄養バランスの偏り、過度なスマートフォンやゲームの使用による疲労なども、体への負担となりストレスにつながることがあります。
こどもの心身症(ストレス関連疾患)の症状
心身症の症状は、体のどの部分に現れるかは一人ひとり異なります。共通しているのは、病院で検査しても、体のどこにも異常が見つからないのに、不調が続くという点です。
よく見られる症状は次の通りです。
- 頭が痛い
- お腹が痛い
- 吐き気がする、食欲がない
- 体がだるい、疲れやすい
- めまい、立ちくらみがする
- ドキドキする、息苦しい
- チック症状(まばたきが増える、肩をすくめる など)
- 気管支喘息の悪化
- アトピー性皮膚炎の悪化
このような症状が続くと、学校に行きづらくなったり、普段の生活に支障が出てくることがあります。
こどもの心身症(ストレス関連疾患)の治療とサポート
心身症の治療では、お子さんの気持ちにやさしく寄り添い、安心できる環境を整えてあげることが何より大切です。
①ストレスの原因を探る
- 子どもが何に困っているのか、何が不安なのかを、じっくり時間をかけて聞いてあげましょう。
- 「学校に行きたくない」などの言葉の背景に、どんなつらい気持ちが隠れているのかを一緒に考えてみましょう。
②安心できる環境をつくる
- お子さんにプレッシャーをかけすぎないようにしましょう。
- 好きなことや楽しいことをする時間を増やしてあげましょう。
- 家族みんなでリラックスできる、穏やかな雰囲気を作ることも大切です。
③生活リズムを整える
- 十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。
- 栄養バランスの取れた食事をしっかり摂るようにしましょう。
- 適度な運動を取り入れることも、ストレス解消につながります。
必要に応じて専門家に相談する
- 症状が長引く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、小児科や心療内科など、専門のお医者さんに相談しましょう。
- もしお子さんが強い不安を感じているようであれば、カウンセリングを受けることも助けになります。
心身症(ストレス関連疾患)の子どもへの接し方
- 子どもが学校を休みがちでも「怠けている」「甘えている」と決めつけず、まず寄り添うことが大切です。
- 頭ごなしに「学校に行きなさい!」と言わず、「何か困っていることはある?」と優しく声をかけましょう。
- 少しずつ負担を減らし、できることから取り組めるようにサポートすることも大事です。
- 「休むことは悪いことではない」と伝え、無理に登校を強制せず、必要に応じて休ませることも選択肢のひとつです。
心身症のお子さんは、自分でもどうして体調が悪いのか分からず、不安を感じていることがほとんどです。お子さんが「ここは安心できる場所だ」と感じられる環境を整え、焦らずゆっくりと回復を見守ってあげてくださいね。