アデノウイルス
アデノウイルスとは
アデノウイルスは、風邪のような症状を引き起こすウイルスの一種で、さまざまな病気の原因になります。
代表的なものに、プール熱(咽頭結膜熱)、胃腸炎、結膜炎(はやり目)などがあります。
感染力がとても強く、園や学校などで集団感染を起こすこともあります。一年を通じて発生しますが、特に夏場に流行しやすい傾向があります。
アデノウイルスの感染経路
アデノウイルスは、以下のような経路で広がります。
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみを吸い込むことでうつります。
- 接触感染:感染者が触れたもの(ドアノブ、タオル、おもちゃなど)を触れた後、その手で口や目をこすることで感染します。
- 経口感染:ウイルスがついた手で食事をしたり、プールの水を介してうつることもあります。
アデノウイルスの症状
アデノウイルスに感染すると、通常5~7日の潜伏期間を経て症状が現れます。
- 高熱(39~40℃)が4~5日続く
- のどの痛み(扁桃腺が腫れることも)
- 目の充血、目やに(結膜炎・はやり目)
- 下痢や嘔吐(アデノウイルス性胃腸炎)
- 全身のだるさ、食欲不振
特に「プール熱(咽頭結膜熱)」は、発熱・のどの痛み・目の充血の3つが一緒に出るのが特徴です。
また、目の症状がひどい場合は、「はやり目(流行性角結膜炎)」と呼ばれ、長引くこともあります。
アデノウイルスの治療方法
アデノウイルスに対してはウイルスそのものを退ける薬はなく、症状をやわらげながら、回復を助けることが大切です。
① 高熱への対処
- こまめに水分補給(脱水を防ぐため、経口補水液や麦茶などを少しずつ飲ませる)
- 熱が高くてつらそうなときは、医師の指示で解熱剤を使う
② のどの痛み
- のどにやさしい食べ物を選ぶ(ゼリー、スープ、プリンなど)
- 冷たい飲み物やアイスでのどを冷やすのも効果的です
③ 目の充血や目やに
- 目をこすらないように注意(感染を広げる原因になります)
- 医師の指示に従い、目の洗浄や抗生物質入りの目薬を使うことがあります
④ 下痢・嘔吐がある場合
- 脱水にならないように、水分をこまめに補給しましょう
- 消化の良い食事(おかゆ・うどん・すりおろしリンゴなど)を少量ずつ
アデノウイルスの予防ポイント
アデノウイルスの感染を防ぐためには、以下のような基本的な衛生習慣が効果的です。
- 手洗いをこまめに(特にトイレ後・食事前・外出後)
- タオルや食器の共用は避ける(目の症状があるときは特に)
- おもちゃやドアノブを消毒する(次亜塩素酸ナトリウムなどで拭く)
- プール後はシャワーで全身をしっかり洗い流す
登園・登校の目安
アデノウイルス感染症は、学校保健安全法で「主要な症状がなくなってから2日間は登園・登校を控える」と定められています。(例:熱や目の充血が治ってから2日後)
また、ウイルスは回復後も便にしばらく残ることがあるため、トイレ後の手洗いを続けて徹底し、感染を広げないように注意しましょう。